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権利者と借家人の税

(III)工事完了から清算・管理組合への移行

(イ)清算金の課税の特例

清算金の交付を受けたときも収用等の特例が受けられます。
(措法33の33、措法657
清算金についても組合は証明書の発行をしなければなりません。
従って、税務当局と事前協議が必要となります。(過去にしていないケースもあるらしい。)

(注)
1.最近の事前協議では、多額のものにつき相当しつこく理由を問われたケースがある。
2.事前協議担当官によって可成判断に差がある。
3.安易に清算金を受けるよう権利者を誘導して、結果的に特例を受けられなくならないよう注意が今後必要でしょう。

(ロ)通損補償金の精算と申告

通損補償金は原則として2年間の課税延期が認められます。(措通33-33、措通64(3)-15)が、権利変換の場合は計画書に明白なため、工事完了時(2年超)まで最初から延期申請をすることが可能です。
工事完了後の確定申告で、清算金とあわせて精算・申告の説明会を催すとよいでしょう。
尚、従後資産を事業用で利用する権利者は、いわゆる圧縮記帳をして、新しく帳簿価額を付さなければなりません。
これについては、措通64(3)-13を適用することになりますが、清算金があれば、これも加味しなければなりません。

(ハ)その他の税金

・不動産取得税及び登録免許税
増床及び参加組合員負担金も原則課税です。
しかし、工事完了前に土地持分の登記が終了していて、101条登記をすると、結果として建物部分に登録免許税が課税されないケースがあるようです。

・事業税
オフィスビル・大規模商業床の共有持分を賃貸する場合、アパート貸しと異なり、戸数等の基準は必ずしも当てはまらなくなるため、賃貸が事業税の対象として認定されることもあります。この場合も、通知を受けたら交渉に行くとよいでしょう。

・権利変換床
固定資産税は5年間軽減されます。
不動産取得税は課税されません。

・建物評価(不動産取得税、固定資産税)
再開発ビルの規模が大きい為、建物評価には相当の月数がかかっています。
中には完成後2年近く経ってから評価が出るケースもあります。
そこで、建物登記後に、都(市)税事務所に評価の依頼と、建物実地調査・問い合わせに対応する資料保存の体制を築く必要があります。
評価にはオーナー及びテナントが自ら附加した資産の見積書等も必要となります。
テナントが附加した資産については、原則としてその所有権がオーナーに帰属して課税されます。
但し、テナント附加部分について、分離申出等の書類をオーナーとテナントが同意して提出すれば、その部分についてはテナントに課税することができます。
これらの建物評価については、都(市)税事務所に説明会を開催してもらうようにしましょう。
評価額がでるまでは、建物の固定資産税通知が来ませんが、決定後は遡って納税となります。

・固定資産税の住宅用地の特例
住宅を所有している者であっても、建物全体の居住部分の割合が25%未満の場合、敷地の住宅用地の特例の適用がなく、固定資産税の負担が高額となります。

(ニ)電波障害対策施設及び保全・対策費の管理組合への移管と権利者への課税関係

再開発組合と管理組合は構成員が殆ど同じであっても、全く別人格の法人として扱われます。
つまり、資金の移管は単純に言えば贈与となり、個人に対する配当もしくは清算金交付ではないかという問題が生じます。
しかし、正規の清算金として手続きをしたもの以外は、勝手に清算金と主張することはできません。
更に、贈与・配当に至っては、再開発法に抵触する違法行為になるでしょう。
要するに、電波障害対策等を再開発組合等が事業として行うなら、権限・義務を有する行為に含まれるのかという点が重要です。
それからすれば、電波障害対策は含まれると解されるのではないでしょうか。しかし、長期修繕積立金として建物全体の修繕積立金を含むとは解せません。
法人税基本通達7-8-7では、結果的に課税されない方向の解釈がなされています。

(注)
1.移管について覚書を交わし、資金の使用制限を明確にする。
2.管理組合は、当該資金を特別会計で受け、一般会計に流用しない規程を設ける。
3.10年以上の期間経過の資金残高については、その時点で改めて総会決議とするが、決して配当等はできないよう明確にする。



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